「去勢…」それは現代、動物を愛する者だからこそが重く抱える試練にちがいない。
関西地方では《タマ取ったるデ!》というとヤクザの抗争において「敵勢力の構成員の生命を奪う」…という意味に使われる。(笑)
冗談を言っている場合ではない。我が家ではメスのミュミュ子につづき、このオス猫ウリ坊のすでに巨大化してある睾丸を取らなければならなくなってきたのである。
それにあのころんころんした固形物は、絵的にとても可愛らしく、極力、バカ親・バカ家族たちも一致して、《タマの保存》で腹は固まっていたのだが、生後一年たって、先のページでも詳報のように隣家の『センパイとの抗争』も勃発したこともあり、ウリの”サカリ”はまさに男としての貫禄が出てくるのと平行して、隣家との安寧を乱すものとなって”成長”していった。
さらについには、ミュミュ子のようにとっくに(病気で)卵巣・子宮を摘出済みの「元メス」にもしつこく挑みかかったり、深夜に雄たけびをあげて走り回るなどこいつの中の”オス”は純化する一方であった。
そして、決定打は「匂い付け(スプレイング)行動」だ。
先にも述べたように、気の入った自己主張と腕力の強いオスほど、鹿でいう”麝香(じゃこう)”に相当する、《ねこまん》という『メスたぶらかしナワバリ主張フェロモン入り液』の匂いは強く、ひんぱんに睾丸の活性化に伴って分泌され、あちこちひっかけまくる行動に出るものだ。
そのアブラが粘りつくような濃〜いニオイは、我が家の中でもこいつが「これはオレのもの」と思い入れの強いアイテムや場所を中心にもっぱら”リーチをかけて”行くのである。
だからボクの愛用のセカンドバッグや、昼寝用のベッドやらベランダのコーナー、茶の間の指定席…と、意外な箇所にまで《ねこまん》攻撃を連日重ねて行くため、
手術自体は、前日夜以降飲まず食わずで、翌朝全身麻酔をかけ、正味20分程度で「部分的な剃毛・メスを縦に入れる・タマ取り・縫合(2針?)」全過程を終了。手術費用は各自治体によって獣医への同系手術への費用補助が違うため、多少の微差があるけれど、わが荒川区は12000円払っておしまい。
そして自宅では4日間、化膿止めのカプセル朝晩各1(呑ませ方は手で両目を覆い、片手で口を開かせ、ノドちんこの奥の方まで錠剤をノーバウンドで落下させ当方のツバを続いて落下させる。そして口を閉じさせたまま、鼻の穴に向け”プッ”と息を吹きかけ、ちょっとビックリさせて思わずゴックンさせる…のがプロのコツ)
ずつ与えてそれですべて終了。ウリの場合、性格的に意地っ張りオスから脱皮した…?のは術後10日。意地をどこかに置いてきたのだろう。
まったく、思ったよりも『痛そうでなかった』様子なので胸をなでおろした次第。
余計なことかもしれないが、『オスであること』がかえって気の毒な環境の都会住まいのイヌ・ネコなどには飼い主がいっそ思い切って良いのではなかろうか。
術後は人間らに甘えたい気持ちを素直に前面に出してくるようになり、内臓・排便・睡眠とも以前より快調になって暮らしている。
メスの場合はさすがにこんなオスのように簡単に…とはいかない。
費用も開腹手術もあるから3万以内…が相場だろう。しばらくはエリザベスカラー(ラッパ型のハイネックなめ防止エリ)装着でちょっと痛々しいが、産んでは捨て産んでは捨て…の地獄のサイクル(最大年間4回出産する)考えると『外出アリ』環境では手術ナシでは考えられない。
なお、「手術ドキ」は『2回目のサカリの最中』が良い。オレって親切〜〜?だけどバッカ〜(笑)