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「日本でひとつ」の世界
「ACミラン」と「パテックフィリップ」唯一無二の邂逅

世界で(イタリーで?)100個、日本にはもちろんこの一個だけと断言できる。
なお、この文字盤はこの「100個だけ」のために作られ、一切他には使用されていない。

「ACミラン100年記念」崇高の歴史を感じさせる
金属モニュメントが重厚な桜材ボックスの中央に

文字盤ウラ、剛性クリスタルガラスで守られたスケルトン表面に刻まれた【Milan A.C.】
そして【1899−1999】が持つ者の誇り。

通常の「XX年記念時計」「限定XX個ウォッチ」といったものにボクはほとんど目もくれない。
そんなものたいていの場合《時計を売って利益を上げたい者》がそうした「イベント」にかこつけて
”限定数=販売目標”としているだけの商品だからである(笑)。

だから何年経ってもプレミア価値など付きようもなく、稀少だとすれば、ただそれは「数が比較的少ない」といっただけのこと(笑)。
万が一、売れたり、話題になったとしたら(笑)・・・、その「販売元」はせっかくの少ない個体数を”ご好評につき”とかいって、自らの手で増産し「なけなしの価値」さえ危うくしてしまうものなのだ。

このHPをお読み戴いていれば、もうボク特有の目のつけ方についてはいい加減ご理解いただけたと思うが、本当に大事な【限定】とはその《企業とか団体》がその歴史の中で、めったに同じような(趣旨の)品などくり返し再生産しない体制かどうか(保障みたいな)見極めがまず大事。

さて、この時計について語れば
【このACミランは”よっぽどの事”=球団創設100周年記念・・・があって、このかんに興行的にも大成功を収め、多大な利益を「市やオーナー、スポンサー企業」にもたらして来た。
だから滅多にやらないような出費規模のお祝いとなった。
そしてこの時計の製作をしたパテック・フィリップも「スポンサー企業のひとつ」だけあり、利益を度外視して【100年記念ウォッチ】制作の一翼をになったというリサーチ結果に、ボクは飛びついた。
日本人やアメリカ人にとっての”時計の世界一”というと「ROLEX」だけれども、ヨーロッパのケタの違うお金持ちや貴族らは間違いなくこのパテックフィリップ筆頭にブレゲを挙げる。
「ROLEXも世界一だろうが、あくまでビジネス用」と割り切る専門家は多い。
これは高級な時計を扱う者の世界では「常識」だろう。

彼らPP社の商品群というと軒並み「1000万円」を超える美術品ばかりだ。
世に《1000万円》と自称するウォッチはヤマとある。白金のベースにやたらダイヤだの大粒の宝石だのをちりばめて、その「貴金属の重さ」の総合計金額ともなれば「時計屋がエラいのでなく、石がエラいのである」。これを良い時計と云う鑑定士がいたが、それはバカである(笑)。
”良い時計”というのは「機械が偉い」、それ以外はあってはならない。
商品群の平均プライスがそうした品ばかりで占められているため、いきおいバカから鑑れば【高級時計メーカー】と称されているものが現実にある。
そんなもの粉飾決算と同じ、そんな卑屈な工作などに手を染める時計メーカーなどの機械の価値・・・?など、取り立てて騒ぐほどの重みなどない。もうそれだけで《おサトが知れる》というものだ。

それに対して(ボクは特に)パテック・フィリップの良さとは、もっぱら「《職人ワザ(=機械)》」のほうにプレミア価値がついているという点に着目している。同社の作るモデル「グランドコンプリケイション」は《腕に一度巻いただけで、正しい日付も曜日もすべて歯車が永久に記憶し、正しく針を示し続けてくれる機能》の機械式時計である。
お値段などは「フェラーリの新作が買えるような値段」(2000万以上)だけれども、世界のいかなるメーカーの追随を今も許していない(ちなみにこの機能を電気式=クォーツで作れば「天賞堂」製で13万円で買えるものだ)。

このグランドコンプリケイションは、腕時計ながら”都合で盤面に視線をやれない時”(「運転中」や「舞踏会の際」だと説明する)にボタンを押すと、二つの異なる音階で「時間と分」を涼しいベルの音で報せてくれる。この機構(「ミニッツリピータ」)が時計内部で打刻音、「微小なハンマーと鉄琴」・・・それぞれ2つの《先祖代々部品だけを作り続けている一族》がPP社に抱え込まれて、今日も”たったこれだけ”を家業にして暮らしている・・・といった《創作環境》が頑固に堅持されているのである。



わずかな振動でも「(手首の動き?)」と誤解して、内部の自動巻き分銅が回転してしまうので、この撮影には往生してしまった。この信じられないような精度もすべて「手作業」によるもの。ますます人間の素晴らしさが再認識させられる。

ズッシリとした桜の箱に納められ、VIPにのみ贈呈された本品。
これには、ROLEX時計学校主席卒業の日本第一人者、古賀潤一郎氏さえも《知らなかった》と舌を巻いた。

PP社保証書心臓部、日本の同社代理店も《未見だった》と驚く
おそらくこの「時計チラリ」で、フリーパスなのではないか    

そもそも、このPP社は「ダブルネーム」という仕事の形態は本来取っておらず、今までボク自身ACミランのこの個体と、「ティファニー」でほんのわずかな時期試作品的に扱ったのを手にしただけしかボクは寡聞にして知らない。

改ざんをさせないフィルム加工した右下の「保証書(右上)」のOO/100で、PP社がこれを100個制作し、歴代オーナーはじめ、歴代主将格の選手、監督、ミラノ地方豪族・同地方貴族、歴代市長、歴代市議会議長らに感謝をこめて球団として贈ったもの。
あの「《ACミラン》にとっての100人」といったらいったいどのようなVIPなのか、詳細はヨーロッパのメディアにも明らかにされていないが、ファンとしては興味は尽きない。
(ただこの「OO」という個体数の番号、このHPをイタリーで見られてしまうとボクにこれを譲渡してくれた出元が判明してしまう(?)ため、念のためモザイクをかけた。)
使用しているムーヴメント、《18Kケース、24時間計、月、日、曜日、自動巻き、桜材豪華ケース》・・・おそらくミランに、PP社の請求額は《安くて90万円〜儲けて140万円》と考えられるが、文字盤がカタログにもないオリジナル・・・という気合いの入り方は、PP社としてもそうしたVIPへの「プロモーション効果」を計算に入れてのオファーだから無理をしたのではないか。

《手作業の品》が「庶民のサイフで買えるなんて今のうち・・・」。【目利き】なんて口はばったい。だけど”同じ仕事を今後20年後”にやらせたらどれほど高額の請求書が来るだろうか、これくらいは理解して貰いたい。だから”目利き”になどなるよりも先に、ボクは【腕利き】を最大限評価する。