場所は品川駅の東口にある(意外だなあ)「中日新聞」脇の『中日ドラゴンズ室内練習場』だった。
行ってみると”受講生”というものは
『「上に名門高校野球部がある」付属中』の軟式野球部の面々がほぼ全員で、学校こそ別々でも、揃って実技講義を受けていた。

 ミズさんは言う。
『彼らや、小学生でシニアに入りステッアップして活躍したいという、ちょうど、”連結器”の部分に差し掛かっている子達は、受け入れ先が「野球の名門であればあるほど」それが高いカベとなってぶつかる、また遠回りしなくちゃならない…怯えがある。
 なのに、そうした実践的にコーチして、入部とともに違和感なく実力を発揮させるようにしてくれる…、「そうしたスクールのようなもの」が探してもないんです。これじゃ可哀想なんですよ』と、手作りの”校長先生”は説明する。
『あのな、良く見てみなさい。テーマを持たないで”素振りをXXX回しろ”って(指導者の指示を鵜のみにして)言われている典型なんだよ、今のキミのスイングは。
いいか、この状態でオレの手をためしにバットで押し返してみなさい。どうだ?”力が入らない”だろう?。

こうした「ヒジから先の状態」だったらオレだってせいぜい外野に飛んだって”定位置”しか飛ばないさ。手首も何も利かないだろう、な?、力も入んないだろう?』
『(上のポーズと)比べてみな?ずっとカッコ良く振りに来てるだろう。素振りにはベルトのバックルの先に踏み出した左足の前で常にボールをインパクトするイメージ。
「素振りの際」には”バットのマークが残像に残る”ようにしなくちゃダメ。ほれ、そうすっとさ、自然に手首が伸びてくるだろう。そしてほら、力がバットのヘッドに乗り移ってきて、押してごらん。
イテテ…な、ずっとパワーが伝わるし、視界の中にインパクトする部分も見える…違うか?。それにボールも最後まで見れるしな、これでな、インパクトの場所で”ヘッドが最高スピードに達する”わけなんだよ、これじゃなくっちゃボテボテばかりになっちゃうんだ』
見た目も「腰の入り」具合、踏み込み…もカタになってきている。
この水上流によって、いつの間にかこの少年に乗り移ってくるのだろう。
「中学生は『”なるほど”と思ったくれたこと』なら、次回の教室(=翌週)までに結果として出してくるんですよ。」
その短時間での成長ぶりには「ビックリしますよねえ」と表情を崩すのだ。

今後は「小学生だけ」に特化したコースや、「軟式大好きアダルト」(なんかエッチっぽいなあ…)のように大人の実技グレードアップ講座も申し込み次第で開設する予定だ。
 バッテイングケージの裏から中学生の打撃を見守るミズさん。かつて監督・コーチらから『おい、ミズ。今日の西崎は何狙って行ったらエエと思う…?』などと、水上の「分析眼」はアテにされ、しばしばロッテオリオンズの貧乏所帯を救い、勝ちに導いていた。
 一見、軟派な48歳だが(笑 03当時)、現役時代に培った確かな”敵への観察眼”を、これからは教え子たち各人の弱点を見つけ出し、理想へと結び付ける”しみ込みやすい”アドバイスへと役立てて行く。

あ、そうだ詳細希望の方は以下の連絡先へ:

休講中
mail
氏のホームページ『少年野球倶楽部』はここをクリック
もし良かったら、『オヤジ軟式きちがい特訓コース』を希望者、やってみる?。ミズさんにそう伝えてんか?
流体力学主催:酒呑むだけで実技なし「野球バカトークコース」も考えています。(笑)、でもホント。

軟革最大理解者”水上野球塾”を訪ねてみた。「野球は思いやりでしょ」
(現在は日本ハムファイターズ監督就任につき休講中)

 ボクはベンチ裏の遊軍記者をしている時分に、驚くほど選手・コーチらが「頭を使わずに」ゲームに臨んでいるか、親しくなればなるほど違和感は増すばかりであった。もう少し”ID”野球という野村さんが当時始めたばかりの考え方くらい考えても良さそうなもの…だと思っていた。

 「(当時”新人”だった)原 辰徳など三球で封じられる」とノムさんは公言してはばからなかったし、ボクも素直に同感できた。
 というのも、「ノムさんの右腕」として球界内部では知られた高畠打撃コーチ(故人:2004年7月ご逝去)がロッテのコーチだったため、氏の薫陶を川崎球場に通う度にボクは伝授させて戴いく恩恵に浴していたからであった。

 ID野球の”番頭さん”氏の教え子が、レロン・リーや落合、そして高沢(弱小ロッテにありながら、このタイトル長者!!)と、次々と氏の野球に対する考え方はカタチへと結んで行った。
 その中で、氏の熱意を受け継ぐ…それほど野球が好きでたまらない…という熱意を通り越して一種の”病気”にかかった最大の患者、それは間違いなく「水上善雄」というバカヤロウにちがいなかった。

 それにしてもボクは振り返ってみると、『野球が好き、野球が人生…』といったノリの人々に知り合えたことでは「ひょっとすると『世界一恵まれている』男」かも知れない。

 高畠さん、村田兆冶さん、清原君、イチローに佐々木さん、巨人後藤君、江頭さんそして何よりこの水上さんだった。
 ……その彼から『今、子供たちを集めて”ここをこうしたら良いんじゃないか”っていうノリの野球教室を開いているんです』という挨拶を受けた。

 それはつい先ごろのこと。バカヤロー、どうして先に言ってくれないんだ。
 ボクは口惜しかった。誰よりも先に17年もの現役生活で培った、ボクの見込んだ彼の超一級の”観察眼”、そして優しい思いやり、これを武器にして打って出ようというのに、その”初ボトル抜栓”にお招きがなかったことを恨んだのである。

 バカヤローと、ある晩、出掛けていった(笑)。

 チックショウ、やっぱり巧く教えてやがるぜ…。今すぐに12球団にヘッドハントされてもおかしくはないノウハウを、彼は的確に中学生らに注入していたのである。

 目立ち上手のようでいて実は古風な水上善雄、唯一無二のウォッチャーを自負し、彼を中心に描いたドキュメントで小さな文学賞を頂戴したボクだったが、しっかり油断しまくっていた自分を今日知って、くやしさ千万…ながらどっこいここにも生きている確かな眼力、そして次世代を愛する心に触れて、ぼくはこの晩、痛飲してしまったものである。

 幸いにも「オヤジ軟式こだわり族」にも門戸を開いている(無理やり開けた!)ので直ちに同志を結集するつもりである。や〜〜いざまあみろ。教えてくださいね(笑)

『軟式革命』実践編

硬式だけど、シカトでプロに習ってしまう!

『(あの子達は、また来ているんだろうなあ…)』と心配になったから、後日またボクは品川へやって来た。

なのにアレレ、どうしてオレはユニフォ−ム着てるんだろう。
それに今回は『極真空手・北千住道場』の佐々木敏也師範まで一緒に、しかも佐々木さんまでがバッティングジャージを着ているし,どうしてスパイクまで持っているんだろうか、不思議でならない(笑)。

教室のお手伝いをしている打撃投手役の現役高校野球部少年の”軽い”キャッチボールの硬球を受ける…シュウウッ…っと、久々に”活きたタマ”を受け心地よかった。

特にここは室内ブルペンなので、【スッパ〜ン】と乾いた大げさな音が響くので気持ちいいことこの上ない。手のひらは悲鳴を上げているが…。

しまったなぁ〜硬式用のミットを持ってくれば良かった(ジ〜〜〜ンビリビリビリ)。
ボクはもっと良い音をさせて、ピッチャーを励ますのが得意なので、ついつい良い音(=つまり痛い!)をさせるようキャッチングする癖がでてしまう、かなりイタ〜イ。
これも、若いのに”打撃投手という汚れ役”をしているカレに気持ち良くなって貰いたいからだった。

でも、あのHawks秋山さんに貰ったグラブでもきっちり、”パッチ〜〜ン”と高く乾いた反響音を響かせ、黙っていても、カレのタマが生気を帯びて次第に手元で伸び内角にグイッと変化するのが伝わってくる(もしかするとこの上手投げをサイドスローに改造してみるとこの少年は球速よりも、このキレがもっと引き出されるかもしれない)、パッチ〜〜ン…とっても痛いけど(笑)、お役に立てて(?)あぁ、うれしい限り(ジ〜〜〜ン  トホホ)。

 今日はライブヒッティング、そのカレのマウンドからのボールを生徒が代わるがわる打ち、水上さんからのチェックを受ける。氏の基本は『こうやったらダメ』とはけして言わないことだ。

 「キミがこうする…、そうしたら「こうした場合」にこんなソンをする。だったらこうした方がトクだろう…」という教え方が”水上流フォーマット”。

 驚いたのだけれども、佐々木師範の場合はさすがに極真、パンチ力はあるのだけれど「(草野球の)実試合へいくと」何故か消極的になり、『思わぬ好球を見逃してしまう』ことだった。その”クセ”をただちにミズさんは見破る。

 『《ボールを見過ぎている…》副作用です。ストライクゾーンの中でも佐々木さんは好きな一部のゾーンだけを絞ってそこに絞り過ぎているんです。逆にもっと「ストライクゾーンを広く見て」打ってみて…。それにしても張本さんを想い出すバッティングですね』との「指摘と処方箋」に、直後からパワフルな当たりを連発『カワがむけた』感あり。
 師範は『さすがにプロ、すぐに判るんですね〜』と帰り道に舌を巻く。

 一方ボクはかねてから、凡打の際にきまって「捕手側の肩」が下がっている難点があった、それを
『スイングのための”肩の始動”を、投手がボールを”リリースしてから”動かしても間に合うはずです。早めに肩が始動してしまうので、一度作ったせっかくの”トップが[間]が持てなくなり”下がってしまうことになる』という。
 な〜るほど、視線が高くなった感じで振り抜ける…フィーリングに変わった。

 う〜〜ん、これならどこに力を入れどこを応用させれば良いのか『自分のバッティング』を”俯瞰して見える”ようになった気がして本当にうれしいぞ〜。必要なのは持ち帰って毎日の精進だ。 押忍!