本誌独占
バットに刻まれたハゲ(だから、誰がやねん)の謎を解析する。

禁・無断引用/転載(特に「週刊ベースボール」「月刊文藝春秋」は要留意)
メジャー志向・巨人松井や谷繁でもイケるのか?
【”行く”からには負けない。】
 イチローという人物のプライドは常人には想像もつかない高みに設定されている。
だから個人的な事情で申し訳ないけれども、ボクは敵を作っても仕方がない、今シーズンあらゆるメディアから問われた、イチローと新庄両者を一緒に並べてコメントを問われることを避け、せっかくのお仕事をお断りせざるを得なかった。
 自分の収入に相当響いたことだろう。じっさい春頃はメディアが取材できないイチローへの”アンチテーゼ”なのだろうか、いつの間にか新庄君がとんでもない高みに貼り付けられていたのを思い出して欲しい。ボクにしたってヨイショするのは簡単だ。
 だが、少なくともそれらの”上げ潮ムード”に便乗して彼の評価を”高値”としてコメントしていったらどうなるか?ありがたい事ではあるし、ボクのつける”高値”は多くのマスコミ『先にヴォルテージ高き”見出しありき”』の販売優先編集方針にニーズバッチリ!。
 じっさい、今回の新庄ではないけれどスポーツ紙の中では良識派…で知られた某紙など、『架空の”プロ鑑定士”』をデッチ上げ、「高けりゃいい」という編集方針の下(笑)、幾度となく「控えめな」ボクの鑑定額コメントを捨て(コメント料は払う)トンでもない金額で見出しを飾る”豪”の者まで現われる始末。
 ここで、安易に自ら”高潮”に乗ってはいけないものなのだ。
 それをペースとして「新庄の品を高く売る」者、そして「高くても良いから買う」者とが現れるのは偽らざる現象で、特に匿名性の高い巨大マーケット、YahooはE−Bayなどのネットオークションでは簡単に『虚構がスタンダード』としてまかり通ってしまう。ここに責任を負うためにボクは踏みとどまる。
 その評価がポジティヴに活きている間は良いだろう。しかし逆に彼が(実力どおり)成績を悪くしていった場合、そのダウン幅の苦情が結局、集中して集まる場所…、それはボクなのである。
 ボクが未知数の者の実力の者を誉める場合、それは勇気が要る。
”のちになって討たれても悔いがないかどうか…”、その点をまずさんざん、頭の中で検討し、逡巡してから誉めるようにしている。それがせめてもの”自己保身”といえよう。
 【新庄メジャー入り】の報を聞かされてイチローは一瞬、絶句した。
 その直後、『メッツはどこまで本気なんですか?』とボクに訊き返してきたのを思い出す。
 たしかにメッツの”新庄獲り”はメジャー球団にふさわしくない、直情的で不用意に思えるもので、この時のイチロー君の疑問はむしろ『最後まで責任をまっとうする用意があってメッツは獲得に動いたのか?』『むしろ新庄が被害者になる懸念さえある』というニューアンスであった。
 成田空港の多くの友人に尋ねると、新庄渡米前の「ハワイキャンプ行き」がディスカウントチケットであったこと(鑑定価格4〜5万)。
 空港カウンターにやってきた新庄が多くのマスコミを前に、ラウンジに避難すべく頼んだが『エコノミーでも正規料金ならまだしも、ディスカウントでのラウンジ利用はちょっと』と断られ(笑)、
 そこで急遽、ビジネスクラス料金チケットを購入し、ラウンジに逃げ込んだ…。とのこと。
 以来、他航空会社職員から機動隊員まで知らぬ者はない(あそこの常駐はヒマだけに)というエピソードになっているという。

「ものすごく新しいクセに、ものすごく古風な人間」なのがイチローだとボクは思ってきた。
自分があれだけ準備万端、人生一切の所帯道具を持っていこうとするメジャー機構に、イチローは当然ながらある種の”権威”を尊重し、敬意を払うという礼を尽くしてきたのである(後述)。 

 それを[JALパック]にでも飛び乗るかのように、新庄剛志が突然顔を並べてきたのである。
 DJだ、クラブだ、ラッパーだと、新しい文化にとてつもなく寛容で、自身が日本プロ選手中でもっともオフともなればディープに関わっているさしものイチローも、この阪神出身の新庄という新人類のメジャー入りにはとてつもない違和感を感じる側に回ったのも無理はなかった。

『やってみなきゃ解らない…』新庄は公然とはそう口に出さずに『ボクと比較しちゃあちら(イチロー)が可哀想ですよ』とコメントしていたが、少なくともメジャーを目指す者ならば”あちら”の高みへと一気に昇れるラッキーカードをひかせて貰えるチャンスなのである。

 いわゆる『並立写真』というヤツであろう。ビッグショットな人とやたらと写真を撮りたがる人種がいる。彼らは目的達成には卑屈なまでに接してくる。
 ところが、今度はその彼が蒐集した「並立写真」を友人や第三者に『見せてやる側』に廻ったら最後、転じてメチャクチャ高飛車になるものなのだ。
 どうやら彼らという人種は、”隣に並んで2ショットに収まってくれたヒト”と、どうも『同列』に並べたい……ステージを自分で自分をリフトアップしたいとの欲求が”蒐集癖”に繋がっているのだろう。

 新庄とはイチローと並立写真を無理に撮りたがっただけのマニア…みたいにしかボクは感じない。
 彼は彼なりの道でそれでいいんだろう…だが、メジャーに対しての敬意がソレでいいのか?という部分では反発めいたもの、『野球タレント』には共感などボクは持てない。
 【新庄ファン】には本当に申し訳ない。もうお読みにならないほうが……。

 ともあれ、イチローにすれば新庄に優ったところで何の配当金もない。
 だが、新庄は差があってもともと。クツワ並べてわずかでもリードできたらそれは勲章なのである。 もとよりそれは新庄には一方的にオイシイ賭けなのであった。
 2005年となった今、二人を振り返るとそれなりにハッキリとした前途を持って、新庄にあってはリッパに【北海道の人々】を励まし、イチローは人間性を棄ててさえ「野球道」をさらに昂め上げ、今や、日米野球ファンが彼を下から見上げている……までにそれぞれコマを進めたワケである。
巨人 松井は?また谷繁は?
 生意気なようだが先に言っておく。YBの谷繁が今オフ明けて、日本のどこかの球団に所属(=現中日)するならばそれは間違いなくセカンドチョイス【第二の選択】だったろう。
 彼のファーストチョイス…それはまぎれもなくメジャー入りであって、日本球団のオファーよりかなり低くとも彼はメジャーを目指すはずだ。
 出所は当分は云えない。しかし彼がどこかで洩らした「水ゴコロ」によって、YB戦のスタンドにはメジャー関係の「魚ゴコロ」がやって来ておりこの捕手の長所短所をノートパソコンに打ち込み、ストップウォッチで主に【盗塁刺し動作】を計測しているのは、まさに谷繁とメジャーの「お見合いが始まった」と診るべき風景なのだ。
 今までこれほど日本国民が【XXはすごい、XXは偉い】と1年間にわたって驚嘆させた人物があっただろうか。そのXXがイチロー、そうした社会現象を生んだわけである。
 返すカタナで彼らはボクにこう訊いてきた。

 『巨人の松井はどうですかね?』(
2001年に書いたもの=原文 筆者註)
 彼は怪物でもなんでもない。まだ生身の人間だから予測がしやすいので助かる(笑)。
 松井秀樹君をメジャー選手に代入するとすれば、”厳しくない組み合わせの「ナリーグ東地区」「アリーグ中地区」のチームで【6or7】番打者クラスになるだろう。
 またそれ以上にはなるまい。
 厳しく言うと、ワールドシリーズを争うチームの上位先発投手が相手ではスタメンを下げられかねない…といったレベルであろう。

 彼の現在のキャラ「豪快な(右翼への)一発」これを巨人ファンにとっては最大の魅力とするのだろうが、残念ながら
ここに高い鑑定額を持ってくるメジャーの一流レベル球団はいない
 あったとしたらエキスポスやマーリンズ、アストロズ、デビルレイズのような不人気スター不在チームの”ワケあり”営業政策からの獲得に違いない。
 だが大きな問題がある。彼らに「松井を獲るようなカネはない」…ことである。

 巨人ファンの方済みません。彼は本来ミートが巧いのだから、2塁打を量産する…打者へとアジャストするか(できるか)どうかが『松井メジャー入り』最大の課題であると思う。

 応援するならば、そうして
彼が”レフト方向へ流す”打ち方をメインキャラへと変身するならば、打率も日本で首位打者が確実…にまで急上昇するだろう(が、本塁打は現在の80%程度?に減産するだろうけれど)”嫁入り”のアカツキには『強豪チームの下位打線』に一角を占められると思う。

 代理人間の情報では、あのワンマンオーナー、スタインブレナー氏が自軍スカウトらが”イチロー獲り逃し”の失態を追求され、「TOKYOジャイアンツ松井」獲りには相当の体重をかけてくる…そうだ。
 まさにヤンキースの『6・7番打者』が約束されている…、こう今から言っておこう。

 ボクが彼の代理人ならこのように今から”変身”を進言し
 まるでゲーム感覚のようだけれども、今オフの巨人は絶対に松井・清原は”出さない”はずだ。
 彼の現在使っているバットの重心分布からプロファイリングすれば:
*これ以上の飛距離は出ない。
*長い飛距離を約束するスィートスポットをこれ以上幅広くすることは限界
*あのスィ−トスポットをわずかでも外すと反発力は激減する=凡打が増える=打率は上昇しにくい
 こうした限定条件があってこそ、彼は今非常にバットの能力やバットのキャラを精一杯引き出している大成功例の選手なのである。

 だから”これ以上の成績”を引き出すということは「何かを諦め、何かを伸ばす」という、現在のモデルとは違った削り方をしなくては松井のニューバットはできないのである。
 だから、松井がメジャーを目指すなら【飛距離を捨て、スィートスポットのワイドな】バットへと転進して行くことが必要なのである。

 ちょっとグリップを太くする…か、ヘッド部分を細くする…が処方箋なのだろうが、ある意味で松井は能力全開なのが現在形なのだから、道具を変えてバランスを崩すのは”nothing or All”、すべてを失いかねない賭けであるかも知れぬ。

 ボクは一ファンとして、巨人の松井にはメジャー入りを勧められない。
 もっとも西武の松井…ならキャラ的に話はまったく別だが…。

忙中閑
ここでひと言

2005年の年明けである。ソフトウェアさえ、つたなかったわがHPの整理整頓をしているうちに、この松井秀喜についての【予測】にぶつかった。そして驚いた。昨季【3割30本ヤンキース四番】を実現したのはご存知の通り。現在のメジャーでは別に【ヤンクス四番】にそれほどの特殊性はない。
けれども、昨季、秀喜は上述のように【ライト一辺倒を棄てた】。またバットも【シンを広くし(距離を犠牲とし)打率を上げ「2塁打を量産するタイプ」】へと初めてのモデルチャンジを計った。
彼がプロ入りしてからの最大最初の変身である。
メディアはこの《バット改造》を【2004年MATSUI最大のニュース】と報じなくてはならないはずだ。
つまり、かれは【一度メジャーに負けて】初めてメジャーへのアジャストを開始した……という《天才が努力を始めた》と解釈していい。
ひとえにその結果である。

ボクはここまで読めた事に大変満足している。このかん、多くのスポーツ関係記者らに同じ事を言い続けてきた。
ところが彼らは秀喜やイチロー(そして野茂・佐々木)についての【苦言】は認めない。
紙面にしなかったのである……まさにザマアミロである。
【ほらね、】何度2004年のシーズン終了後に云いまくったことか(笑)。
秀喜はさらに2005年以降、このカタのバットに慣れ【レフト方向】へのホームランが急増する……と予測する。でも、いざその方向に色気を出し、それがバレて【内角速球】を対策として多投されなければ良いが……。彼が注意しなくてはならないのはたったひとつ、それだけだ。


以下、また「2001年」に戻る
 もう一つバッドニュース(アレン…って居たよなあ)だけど、横浜の谷繁捕手の『来季巨人入り』が一部で報道されたが、あれは単なるアドバルーン工作なのだろう。
 佐々木の時にも同じように、こんなアドバルーンが(「日刊スポーツ」等で)いくつも飛びかったのを思い出す。
 じっさい、長島さんが佐々木に直接声をかけていたのだからアドバルーンではなく、報道は間違いはないのだろうが。
 兆候はこんな処に顕われていた。
 大親分佐々木大魔神が消え、【小ボス割拠】となった同球団で、昨季以降より目立っていた谷繁の無気力リードが今季、7月くらいから急に戻った…というか良くなった。

 思えば、イチローの活躍…米オールスター戦明けてスタンドには来日したメジャーのスカウトや代理人、提携日本人スカウトらが陣取るようになった頃と時を同じくしている。

 佐々木に谷繁は”元来自分はメジャー志向…”と語ってきた経緯を考え合わせてみると、何らかの接触を始めたと見て良い…乱暴な結び付け方と笑う方もいようが、あまりにこの豹変ぶりにはおそらく、今まで(権藤末期以来、)いくら笛を吹きまくっても、踊ってくれなかったこの「現場の長」の変身に一番驚いているのは森監督や黒江ヘッドなのではないだろうか。

 森さんとしてはあの「伊東勤捕手」を育てた手腕、”審美眼”は超一級品だ。長期政権考えても谷繁よりも、言いなりに動いてくれる素直な素材が欲しいところだ。

 いずれにせよこのオフ、横浜球団は谷繁を引き留めるようにポーズは見せても実際には動くまい。
 谷繁はメジャーを目指すだろうし。行ってらっしゃ〜い。

 彼にはバッドニュースだが、余計な予測をしておけば、間違いなくメジャーでは「投手のケン制下手」に泣くだろう。彼のキャラが『盗塁阻止率』という強肩でなるだけに、それが自分一人で積み上げられたものでなく味方投手陣(=ケン制上手だった)の協力あってこその勲章だったことが身にしみて解るはずだ。「行けばワカル」(笑)。

 それより、谷繁のリード程度では小宮山の才能は埋没したままだったのが惜しくてならない。
 FA宣言する小宮山には是非とも、ボクの目の黒いうちに『ヤクルト入り』して「古田」とのバッテリー実現を切にお願いしたい。
 西武、伊東が現役引退した以上、小宮山にとって、最上のパートナーは古田を置いて他にない。
 何か、古田のヒザ裏がボクには相当に選手生命を縮めたように映る。

 先発もいいが、むしろ”抑え”に回ってセリーグのファンに投球術の精華を教えてやって欲しい。
 古田にせよ、自分のはじき出した『ココしかない』というミット位置にスパン!(ズッバ〜ンじゃないけど)と投げられる男、しかも変化球なら自分が頭の中で求め描いたとおりの”弧をトレース”してくるのがまた小宮山の魅力だと思う。(すみません、伊東さん古田さん小宮山さん、愛用品下さい)

イチローの秘密練習の中身…に感動!

 「エッ?その注文はマジなの?」

 アシックスの担当者は今まで国内では受けたことにないオーダーを聴かされ、耳を疑っていた。

 この会社はマラソンの高橋尚子はじめ、イチローの足を包むスパイクから練習まですべての専用フ

ットウェアを94年来担当してきた。

 そんな同社がメジャー入りを前にしたイチローサイドから奇妙なオーダーを受けたのである。

 それは昨年、10月のこどだった。

 「『Rawlings社製のメジャー公式球』をお願いします。」とイチロー自身からの注文だと言うのだ。 

 なるほどア社は米Rawlingsとの間で提携関係にあるのをイチローは知った上での指名だった。

 「なんでまた…」何気なく行われたXXダースの輸入に関わった数名は首をかしげた。

 納品されたボールを一個一個箱から出し、紙包みをむくたびに真っ白な肌が日本の空気の中に顔

を出した。

 担当者にしてみたら、『さっそく”メジャーボールへのサイン”を始めるのだろう』程度の疑問でそれ

は流れて行ってしまった。

 ところがイチローはシーズン終了を待って、そのボールをひとまとめにして運び込んだのは、神戸

グリーンスタジアム脇の青涛寮(せいとうりょう=ブルーウェーヴ独身寮)一階の室内練習場だった。

 窓の金網ごしに各社番記者がのぞき込み、カメラの放列がそんなイチローの動きにつれ連動する

。バットの一振りごとに『ジャカジャカジャカジャカ…』と大きな縫製工場でミシンが一斉にうなりを上げ

るかのような連続音を無表情なレンズが放つ。

 終始、無言のイチローの動きは洩らさず追われ、カメラに収められていても、その意図は誰にも知

られることなく着々と進められて行ったのである。


 彼らの靴はゴミ捨て場のRawlingsと大書された空きボール箱をいつの間にか踏み潰しているにも

かかわらず、腕っこきの記者たちでさえも無頓着であった。

 また、彼らの目のすぐ窓下に転がってきたボールの印刷文字が日本のボールでないことに気付く

者さえひとりも居なかった。


 だが良く耳をすまして聴けば、マシン打撃でイチローが一球一球、大きい動作で柔らかく打ち返して

いる「打球音」それ自体が今までのイチローサウンドとは違った音質であったのである。


 一般的には日米双方、ボールの違いと言うと「大きさ」が、『メジャーの方が大きい』という程度しか

語られてこなかったものだ。その差はわずかに2ミリ。

  しかし、イチローは金網の内側で繰り返しボールを叩き、それが次第にヘコみを作り出してくると

、今まで誰も気付かなかった”違い”に、今度はイチローが気付く番であった。

メジャー球左・阪神練習球=連盟球と同サイズの比較。メジャー球は本当に大きいのか?
わずかに2ミリ大きいのみだった

 それは今まで、したり顔の”自称メジャー通”が言う、直径の違いからくる違和感ではなかった。
 
 イチローに危機感が走った。
 
 それは事によると、すべて今まで自分が蓄積してきた実績や才能自体がフイになるかも知れぬほ

どの、根本を覆されることになるかも知れない違和感であった。

「ボールが硬いんですよ。これを体重乗せて投げられたらちょっと打ち返せませんよ…」
 それはボクがイチローと出会ってから初めて耳にする”弱音”であった。

 「打球音」というものは、売っている本人が耳にするものと少し離れた場所にいるものとでは相当に

違うものだ。

 イチローの使うバットのシンは日本・メジャー現役全選手約1200人の使うバットの中では『もっとも

シンの幅が狭い』、しかも飛びぬけて狭い。

 ということは”良い打球を打つのがもっとも困難”なバットなのだ。

 詳しくは触れないが、彼は”打率を犠牲にして”もいいから、”非力な者でも当たれば鋭い”打球が

打てる…そうした設計のバットと共にボクらの前に姿を現した人間だった。


 イチローが19歳。あの94年突如全国区となったあの日以来、『イチローのバットなら”実力以上に”

ヒットを量産できるのだろう』と、じっさい、多くの日本他球団選手らが彼のバットに興味を持ち、打率

向上をめざしトライしてきた…。いや正確にいえば彼らは”試行”して”錯誤だった”と気付き、以来一

人も使っていない。当然である。


 わずかに【小指一本】以下の範囲でプロの速球を捉える…。この困難さに気付く、いや舌を巻いて

こそ、イチローの凄さを知る入り口に位置した…そう言えるのである。

 彼が「打率4割」だけを狙い、あとはどうでも良い。そう捨て切れるなら簡単だ。

 バットをわずかに「常人並み」の幅に拡げてやれば済むことだ。

 イチローがそうしなかったのは、”当面、満足すべき結果を生んでいる現在形のバット”を捨て、”未

来形”のバットで満足すべき結果が待っている保証はないからだ。

 また、そうして”浮気に没頭する”経過でダメだとなって、果たしてそこから逆戻りができ、「元のサ

ヤ」に戻れるというセキュリティもまた、ないからである。


 イチローは、”硬いメジャー球”という未知の数値の中で、今までのバットでは正しい答えがはじき出

せない?といった霧の中に初めて迷い込むことになった。


 『相変わらず順調ですよ。やるべきことをやっているだけです』金網の外に向けるコメントはまったく

何事もないかのようだった。
   つづく

      (本webサイトからの記述・画像の引用は構いませんが、無断でパクるのだけは許しません。せめて【出どころ】だけは仁義上明記をお願いします。)

    

@BW時代の2本左a)はキャンプ、右b)は公式戦実使用。

Aメジャー用キャンプでの実使用投手側に向け強烈なハゲが

B現在使用中の[ ICHIRO Mariners ]モデル実使用。
写真左の焼印部分が美しい。

こだわりの旅 『イチロー”首位打者”
への万端準備』

”フロック”、”メジャーなんて見かけ倒しだった”説を吹き飛ばすこれだけの証拠