そらダメですよ。「軟球のグラブ」をワタシらは作っとるのですから、 それ考えると現行の「オールバスケット型」でないとアカンのですよ
こう云って江頭は、松井稼頭央のグラブ…というより、いや、彼のコンバートの苦悩を心配してきたが、『軟式新球』突然の登場もあって我々は【松井内野モデル】のウェブをあっさりと切り捨てることになった。

05年初夏、このボールをメーカーの協力を得て、すでにギッシリ彼らが整えつつあった在庫から手に入れて”いの一番”に実施したことは、《もしかしてこの[軟式革命グラブ]と新球との相性でも悪かったら…》といった心配だった。

さいわいに、そんな懸念などは吹っ飛び、かえって
新球とのマッチングの良さを証明する声ばかりが、モニタリングしている当方に貯まってくるばかりなので安心した。

軟式新球はいったい誰が、どう連盟=JSBBに導入するよう要求したのだろうか、いきなり新球に来春から切り替えて、流通しているディンプル旧型の在庫やらチームのストックをもったいないと思わない神経が理解できない。

少なくとも【未使用なら買い戻す】というのがスジではないか?まずこうしたフォローあってこそ新しい政治というものに導くべきだろうと思う。そもそも、《使われないままの試合球》を見ていると憐れでならないのはボク(前野)だけか。

どうもハッキリしないがどこまで行ってもこの国は【上意下達式】がお好きなようである。
そして庶民はいつだって、それを黙って受け容れるのみ…ではないのか。

とりあえず全日本軟式野球連盟(JSBB)公式ホームページにある【新球の紹介http://www.jsbb.or.jp/nb/nb01.html 】をご一読願いたい。
そのうえで、ボクらなりの結論(の一部)を、【軟式革命グラブ】新しい機軸をご紹介しながら自分らなりの姿勢を(一部だけ)綴って行きたいと思います。
(詳しい議論がお好きな方には物足りませんから期待しないでください。)


新球は大きなディンプルが無くなったぶん、直進性が増した。そうした点でグラブへの収まり(”突撃力”)にはインパクトがあり、注意が必要となってくる。
ところが、【硬球ならそれでよい】が、そこは【中空ボール】の哀しさ。従来よりも素直に飛び込んできた方向と正反対に飛び出ようとするような反作用が顕著である。

こうして”天才”たちへの外野飛球処理を見ても、江頭が「基本」と述べているような、可能な限り「送球側の手を添える」フォローに忠実だ。
『硬球でさえ』こうした弾み出しを対策しているのをお手本に、我々はさらにその数倍、新軟球の【グラブ内バウンド】に配慮すべきなのである。

かの「JSBBのHP学者先生」の見解とは別に、ボクらは《ゲーム形式》でボールの動向について注目していると、彼らの実験データ採取に使った【ボール打ち出し機】とはどうも違うのだ。

中でもHPでいう《ゴロの2バウンド目など素直で野手もラクに処理できる》という点は完全に疑問符だ。

そのボールはおそらくバットでボール下を叩いたような《バックスピン》がかかっていたのではないか?
それならその通り、2バウンド目は素直に力もない。
ところが、1バウンド目はとてつもなく《高いバウンド》となるのは見逃されている。

実戦には「逆」もある、ボールの上を叩いて《トップスピンをかけた》ゴロは…というと、上記と正反対に《1バウンド目は低く潜り込み、2バウンドで大きく高く跳ねる》といったこのボールの特徴を記述していないなんて、完全に彼ら『机の上の方々』は【新球との最大の差異】を報告できていないと思う。

そう、【ディンプルを小さく細かくしたために、空力関係はマズマズとしても、『土に対しての配慮』を欠いている】のがこの新球のデザインではなかろうか。

ある程度の重さがあって、ツルツルな弾力のあるボール……というと、そう、あの玩具の【マジックボール】にも似た特殊なバウンドが、ボクらの前に出現しているのである。


跳び出し新球の特性のためにもこうしたゴロ捕球への基本を、
【軟式選手だからこそ】押さえなければならない受難(?)の時代となったようだ

テストデータでもこの旧松井モデル(「新5-6」)も片手獲りでラクラクだが、全ての「軟式革命」グラブ作りにネバリのある革を江頭はもっぱら選び出し、万全を期してきた。
松井と江頭のコンビはこの【L7】という素晴らしいベースを生んだその後もまだ成長を続けている。

制動力のある革にプラスして、その定評のベースに新登場の《スケルウェブ》を装着し、パニックキャッチ用にも備え身を固めた。

この軟式革命HP、Topページで江頭が、《目の真下で捕球しない》選手を嗤っていたが、こうして”天才”たちが日常、基本プレーに超忠実なシーンを実際に目にすると、感動さえ覚えないだろうか

いつでもこうしたパームアングルで”グラブからのバウンド”に備えておけば、送球速度は向上し、落球も防げるはずだ

安物の革だから「軟式用」という過去の悪弊

ほんとうに江頭という人物は若々しい、まるで少年のようである。

『さて、新球対策をどうするかとこちらが考えていると、「しばらくはこの革でいきます」一方的にそう言った。
訊き返せば江頭は「この革が軟式革命にはエエと思うんですワ」と、すでにグラブ制作に相当数分の原皮を確保してきてしまったという。
本来の流通ルートならばこんな高価な革を使ったグラブで、しかも「江頭のならし」がプラスするのだから、とても現行のプライスでは採算が初めから合わないの商品企画なのである。

ボク自身も(バイク用)シューズの特許持っている身、皮革の事はシロウトではない。
【軟式革命】というグラブも、日本で始めて《
硬式レベルの革を使った軟式グラブ》として初のスタートを切ったのも、『江頭さんが軟球にベストと思えるならばどんな素材でもかまいません』と理想を目指した、その日からこれが「A'heads」づくりの条件であり、すなわち無条件でもあったわけだ。

そうでないと、粘るようなしっとり感が出ないのだ。
従来のメーカーが「軟式用」に起用しているグラブのように《牛の腹側から採った革》では最初からダメなのだ。

コシがなさすぎて、手になじんだと思ったら最後、それが「ピーク」、以降はフニャフニャで地面這うボールもつまみ上げられない【腰抜けグラブ】となって”人生を終わる”それが「腹革」の”特性”なのである。

靴も同じ、いい靴とは同じ500グラムでも《履いてみたら軽い》というのが良い靴であり、それはつまり
『素直に足の持つカーブになじみ、甲をやさしく包むから』片足を上げてもそれが軽く感じるのである。

それと同じで、手に合っていないグラブや、悪い革のグラブ(「柔らかいだけ」でもいけない)などはおしなべて「重い」。

そう、『誰かをおんぶして運ぶこと』をイメージして欲しいのだ。
片や『そっくり返っている人間』を背負うのと、片や『背中に沿って密着してくれる』のとでは、確実に後者が軽く感じるのと同じことなのである。(だから山の遭難などで「死者を背負うと重い」というのである)

要は「そうした革」でできたグラブを折角なじませても、カウントダウンで「良いフィーリング」の寿命がさっさと終わってしまうのは宿命的なものなのだ。
それに対し、いつまでもコシがしっかりとハメ心地、獲り心地ともに長持ちする……のは(仮に仕立てが悪くとも)革の質が大きく左右するのである。

ボクは江頭がすごいと思うのはこの『中村紀』に作った一個である。


意匠登録済みの
【スケルウェブ】
中村紀選手の家族
の名前が一つ一つの指を支える

氏のアテネ五輪用
特別仕様モデル

あるイベントに出場する際に江頭が餞別がわりに持たせたものだが、これが逸品だった。

これも《短期決戦》ということでの”即戦力性”が求められ、わが【軟式革命】のように「硬式グレードの革」を、わざわざ「薄くスいた」革を用いなじみを早々と持ってくるようなコンセプトだったが、ボクが手にしてみると、これがクルクルとまるで《クレープ(や、ノリ巻き)のようにグラブ全体が巻けてしまう》ほどに柔らかく作られているのである。

写真ではそう見えないのは、巻いた直後にもかかわらずそれが数分後、こうしてドシッと風格を放つのである。
これでキャッチボールを行ってみたが、ここで仮に強烈な(硬球の)ライナーがきても、フィンガーの壁やウェブが後ろのそっくり返ってボールを後方へ逸することはなかろうと、ボクはそう思えた……だから舌を巻いた、こちらの舌も巻きぬいたのである。

こんなことは仕立ての良さ、革の選び方を”知り尽くした者のみ”ぞできるワザであろう。

そう、革のコシが”なくなったようで”どこかシンが通っている続ける…それが「仕立て」の良さなのである。
余談だが、この江頭氏の成した「湯もみ」「手ならし」「カタ付け」…と、今となって第三者がカタるのは簡単だ。
だが、そこには江頭氏が長い歳月をかけ、大メーカーと戦いながら、あれこれトライ&エラーを繰り返し、一歩一歩道を歩んできた裏付けというものがある。
こうした人物の造語さえ安易にパクった上、インターネットで商売し、当の江頭氏ご本人をして怒り心頭にさせてはばからない業者の群れがいる。

彼らが棲息するのは自由だ。だが、そこには先達に対し敬意を表するという心がこの者らにははじめから欠落している。
自身が何かと戦っていないから、戦っているものの辛さや苦しさが理解できない。
だから簡単にそこからパクりが厚顔にもできてしまうのである。

さいわいにしてネットというものはそうして「背伸び」して身長を高く見せる事ができる。
だが、不幸なことにそうした作為をも「簡単に比較できてしまう」ため、墓穴を掘りつつ商売をする事にもなる表裏一体の原理がある。とくに今は庶民には好景気とは程遠い経済状況だ。

GoogleでもYahooでも、上記の【江頭語】を入力し《検索》すればどのような御仁らがヘバリ付いているかが瞬時に判る情け容赦のない時代でもある。(中にはこの江頭の栄光さえパクろうと、【Sluggar】のラベルを刺繍業者に偽造させ、店の傍らヤフオクで密売する者さえいたほどなのだ[=商法違反・刑事罰])

したがってその正体の見きわめともなると、「出金するからには」相手について我々は調べ、選び抜いたうえで買い物をしているのが現実だと思う。
気の毒だけれども、パクリやバチモノに対してはより厳しい世の中なのは自覚すべきだろう。

庶民にとって生活防衛の本能がこうして働いているからなのだろう、それがおそらく生活の知恵というものなのである。

ともあれ
江頭が考案した【スカルweb】(意匠登録済)を装着した内野手用軟式革命を、テスト期間を終え、『これならエエでしょう』守備番号にちなんで
モデル【5−6】(ファイブシックス)と呼んで可愛がって戴こうとL-7改良型を世に問うた次第。


松井内野改造新型
【5−6】

特製グラブ袋付き税別¥29、000
《左投げ》用も在庫僅少
なお、他の『オールラウンド』はスカルよりも従来どおりのバスケット型で続けます。
そして『辻モデル』には《スケルを付けないんですか?》と尋ねたらこう云いました。
『さすがにね、アレまで換えてしまうとね、淋しうてならんじゃないですか』とのこと(笑)。

*なお、革は上記のように今回からしばらくの間は『(上写真右端が近い)ナチュラルに黄味ががっている革』と赤味がさした染まりの革の二通りを起用して行きますが、機能的には「変わりはない」と捉えております。
今後もさらに江頭氏側がより良い革を確保した場合、予告なく切り替わりますのでご承知置きください。

つまり新球は、「縦の変化に細心の注意を払わないと危険な球」だと心得る